鈴蘭台の駅前再開発の取材は4ヶ月ぶりでしたが、北鈴蘭台駅前の取材については実に2年ぶりになってしまいました。月日の過ぎるのは本当に早いものです。その間、北鈴蘭台は大きく変化を遂げました。まずこれまで存在しなかった駅前西側にロータリーの整備が完了していました。
そして北鈴蘭台駅前地区第一種市街地再開発事業が始動しており、既存建物の解体工事がかなり進行していました。
既存建物解体と新築建物の建設を淺沼組が担っています。設計は大建設計が担当。この再開発は神戸すまいまちづくり公社、生活協同組合コープこうべ及び個人2名による地権者が事業主となり、公募によって旭化成不動産レジデンス株式会社が事業協力者に決定。
解体工事の進捗は敷地東側にあった低層部の商業ゾーンのコープが完全に消滅していました。
西側の住宅棟部分の一部が単体で残されています。
建築物の解体は今年7月末まで、全体作業は11月末までを予定しています。その後、新築建物の建設工事に着手。2022年5月の完成を予定しています。
計画されている建物の完成予想パースです。以前の建物同様に低層部にはコープの入る商業施設、中上層部は共同住宅となりますが、住宅は恐らく以前のように市営住宅ではなく、地権者住宅以外は分譲マンションになるものと思われます。
事業名称 北鈴蘭台駅前地区第一種市街地再開発事業施設建築物 新築工事
所在地 神戸市北区甲栄台四丁目14番34
事業者 神戸すまいまちづくり公社、生活協同組合コープこうべ、個人2名
敷地面積 約4,000㎡
建築面積 約2,800㎡
延床面積 14,300㎡
階数 地上10階 地下1階
高さ 最高部30.9m
用途 共同住宅、店舗
構造 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
設計者 株式会社大建設計大阪事務所
施工:株式会社淺沼組大阪本店
北鈴蘭台駅前地区再開発事業地の西側では更に大規模な造成・建設工事が行われてきました。市営桜の宮住宅の建替事業です。事業I期として、既に建て替えが完了した新桜の宮市営住宅の1~3号棟(合計450戸)まで立ち並んでいます。この建て替え事業はPFI方式が採択され、大林組を代表企業とし、神鋼不動産、アール・アイ・エー、神鋼興産建設等が構成する企業グループが事業者となって建設を進めています。高低差がかなりある土地なので、駅に最も近い街区の東端にエレベーターが設置されました。
また共同住宅棟の南側は造成された土地に戸建住宅の建設が進められています。
神鋼不動産が「ジークレフ神戸北鈴蘭台コミュニティガーデンズ」として戸建住宅団地を造成し、建売住宅複数棟の建設を進行中です。コンセプトは「家を持とう。神戸に持とう。」です。デザイン性の高い最新鋭のエコ住宅住宅群が立ち並び始めています。
郊外の駅前立地に新築戸建住宅団地を自治体主導で進めているという珍しい開発区です。
市営住宅跡地に造成された戸建開発用地には100区画以上が用意されます。各区画は45坪以上を確保。街区中央にはコミュニティハウスを建築し、100組以上のファミリー世代の入居を目指します。
市の描く三宮の再整備構想が順調に進行しオフィス・企業集積が進めば、子育て住環境は良く、比較的リーズナブルに住宅を購入できる鈴蘭台エリアは三宮・都心の通勤圏内の住宅地として復権を果たす可能性はあります。北神急行の市営地下鉄化もこうした神鉄沿線の住宅街の付加価値強化の布石と言えます。北鈴蘭台から三宮へのアクセスは谷上経由で最短17分。市営地下鉄西神・山手線では妙法寺が三宮から16分です。
市営桜の宮住宅は北側にI期用地よりも更に広大な敷地に老朽化した共同住宅群(1,659戸)が立ち並びます。II期地区としてこちらの再開発も長谷工コーポレーションを代表企業とし、パナソニックホームズや積水ハウス等が構成する企業グループが事業者として決定しており、800戸の市営住宅、一般住宅、公共施設に加えて、暮らし賑わい施設(ファーマーズマーケット・カフェ・ライブラリー・クリニックなど)」と「生活利便施設」、「時間貸し駐車場」なども整備される一大開発となり、こちらもI期同様にPFI方式が採用されます。
II期地区の開発については、今夏からいよいよ既存住宅の解体に着手し、22年頃から建替工事が開始される予定です。北鈴蘭台駅前再開発と同時進行でII期の開発事業も進められる事になります。この巨大な開発計画によってどれだけ若いファミリー世代、しかも市外からの人口流入を促進できるのかが鍵でしょう。
北鈴蘭台の再開発は、エリアが広大であり、北神急行の市営化もあり、三宮方面へのアクセスも比較的よい方なので、北区内ではポテンシャルは高いと思っています。
先日の鈴蘭台の記事で「北神急行の市営化により、有馬線は谷上で乗り継ぐことを前提とした開発がなされる」とコメント差し上げた具体的な例をご紹介くださってありがとうございます。
戸建てが増加するのはある程度ニーズに合っていていいですね。
戸建てならば多少郊外でも妥協できるのですが、郊外型のマンションに住むなら便利な市街地のマンションに住みたいと考えてしまうので、まずはいい判断と思います(ただし、分譲している限りは労働人口の高齢化がやはり生じてきますので、現時点で100%英断とは断じられません)。
郊外型マンションであれば駅近であることが必須ですが、2期目の集合住宅は駅からどれくらいの距離になるのでしょうか。
いずれにしても、郊外型住宅を維持していくには神戸の都心に経済的な魅力がなければなりません。
有馬線沿線の開発は十分理解しているつもりですが、三宮の再開発も急ぐ必要があります。