三宮再整備

連節バス Port Loop ポートループに乗ってきました! 将来のBRTへの布石 都心・ウォーターフロントの回遊性向上を狙う



遅ればせながら4月1日より満を持して運行を開始した連節バス「Port Loop ポートループ」に乗車してきましたので、レポートしたいと思います。

神戸市は都心部とウォーターフロント間のアクセスや回遊性を向上させる為の起爆剤として、BRTやLRTの導入を論議してきましたが、将来への本格検討に先鞭を付ける形で検討されたのが周遊連節バスの運行です。

2018年より神姫バスの協力を経て実際に連節バスを運行して複数回に渡る社会実験を実施し、そのルートの検討や需要の確認等を行いました。その上で2019年6月には「都心~ウォーターフロント間における連節バス等運行予定事業者募集」を行い、事業者に神姫バスを選定した事が発表されました。それから約2年の歳月を経て、ようやく今春から連節バスの運行を開始するに至ったのです。

ポートループ運行ルートとバス停位置






運行ルートは社会実験時で設定されたものと同じ形となりました。三宮駅前を起点として、新港町地区、メリケンパーク、ハーバーランド等のウォーターフロント拠点を経由し、再び同じ道を辿って、三宮駅前に戻るというルートです。三宮駅前を出発すると停留所は全部で5ヶ所。約1時間の行程です。



各停留所にはポートループ専用の案内塔が設置されました。



ポールの中央には専用のフルカラーのデジタルスクリーンが取り付けられており、運行ルートや時刻表、運行状況が表示されています。

 

乗車料金設定



乗車料金は一律大人210円、子供110円。1日乗車券は500円という設定です。神姫バスとしても採算を考慮しての金額かと思いますが、公的補助もある筈でしょうから、できれば初年度は100円に設定して、乗りやすさ・利用しやすさをアピールし、都心循環バス的な役割を担うべきかと思います。

 

時刻表

時刻表です。平日は19本/日、土日祝は21本/日の運行体制です。時間帯にもよりますが、30分/時が平均的な待ち時間です。これはバス2台での運行によるもので、7月以降は4台と倍増し、15~20分/時程度に短縮される模様です。



今回、ハーバーランドの停留所からポートループに乗車してみました。ガス燈通りに停留所が設置されています。



ハーバーロードを経て、ガス燈通りに入ってきたポートループ。



ブルーとブラックにアクセントの白を入れたバスの色調デザインはスマートで洗練されており、素直に格好良いと思います。社会実験に導入された連節バスは神姫バスが保有するメルセデスベンツ社製のノンステップバス「CITARO‐G」でしたが、ポートループとして投入された全長約18mの連節バスはハイブリッド車の日野自動車製ブルーリボンです。

 

バス車内の様子



真新しいバスの車内は非常に清潔で気持ちの良い状態でした。座席のファブリックは神戸タータン柄を採用。内装はシンプルですが、快適な空間を提供しています。



スペースに余裕のある連節バスらしく4人掛けのボックスシートも装備。窓も大きく車窓の景色を楽しむ事が前提にされた設計です。乗り心地も上々でした。



前方のモニターです。LEDフルカラーで視認性も高いスクリーンです。



連節バスらしく連接部より後ろの部分にもう1台モニターが設置されています。Wi-fi環境も整っています。



乗車は中央と後方の二ヶ所のドアから行います。エントランスの両側にICカードリーダーが備わります。降車は前方ドアからです。



連節部周りの様子です。混雑時にはこの部分の乗車も許容されるのでしょうか。



連接バスは右左折時に連節部が折れ曲がって走行します。

 

ターミナルの三宮駅前到着



ハーバーランドを出発して約30分で時刻表通りに三宮駅前に到着しました。道路の混雑が無かった為か、途中、各停留所で時間調整の停車を何度も行っていました。道路状況も考慮しなければなりませんが、停留所の数の少なさを考えると、思った以上に時間が掛かった印象です。



歩道が拡幅されて舗装が刷新された神戸阪急前の停留所に到着。三宮の駅前にポートループが停車する新しい日常が生まれています。デザイン性の高いこの連節バスは周囲の景色に映えます。



新車の連節バスと竣工したばかりの神戸三宮阪急ビルを一枚の写真に収めてみると、新しい神戸の息吹を感じる事ができます。今後もJR駅ビルが加わり、周辺の歩行者デッキ再編や三宮クロススクエアの整備が進む予定です。

 

市民・観光客の足としての定着化が課題



この連節バスがウォーターフロントへのアクセス性向上に一役買う事は間違いありませんが、市民や観光客の利用定着にはやはり利便性と料金が大きく影響を与えるものと思われます。利便性については7月からの4台体制に切り替わり、運行頻度が増えた際に評価される事になります。

BRTとして連節バスが博多駅-ウォーターフロント間で運行している先輩都市の福岡では神戸よりも運行距離が長い為、距離に応じた課金制になっていますが、最大でも190円という設定です。やはり200円台という料金設定は心理的な障壁は利用者に躊躇をもたらす可能性があるので、100円台に下げるべきかと考えます。

またポートタワーやハーバーランドと新港町やKIITO間の往来にも使いやすいように途中下車料金を設定するべきです。新港町の再開発エリアで今秋以降に集客施設が開業すれば、既存と新興ウォーターフロントエリア間の往来は今後、増えていく事は確実です。100円であれば乗ろうかと思いますが、途中下車しても210円なら歩こうと思うのが人の心理です。



ポートループを運行する神姫バスは神戸ポートアイランドに新しい神戸営業所を建設しています。ポートループの整備もこの新営業所で行っていく事になります。同社は神戸での投資に大きく社運を掛けています。



残念ながら、緊急事態宣言の発出によって、5月1日より当面の間、運行を停止する事になったポートループ。再開発ビルの完成や新交通の運行開始等、この春は神戸にとって新しいステージに突入する節目になる筈でしたが、コロナに大きく水を差された形になってしまった事が残念です。7月の本格運行開始に期待して、今は待つしかありません。

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POSTED COMMENT

  1. sirokuma より:

    やっと出来ましたね。何度か見かけましたが、洗練されたデザインのバスです。観光はもちろん市民の日常の足として定着して欲しいと思います。その為には運行本数と料金三ノ宮⇔新港町とハーバーランド⇔新港町はやはり100円にして欲しいですね。また、将来アリーナでイベントが開催される日は三宮⇔新港町のピストンでなるべく大勢の人を運んでほしいと思います。
    その他のエリアのバス運賃との兼ね合いがあるのでしょうが運行距離と所要時間と運賃を考えると高いという印象がぬぐえず、歩くのと変わらない所要時間の交通機関を通勤通学の足にするかどうか微妙なところです。
    神戸市は観光客よりも市民の利便性を念頭に観光行政も考えるべきじゃないかなぁ?

  2. 摂津国人 より:

    こんにちは。
    ポートループの乗車レポートありがとうございました。
    まさに私が確認したかった良い点も課題点もわかりやすく解説していただき大変興味深かったです。

    最近私は、連節バスについてポジティブな意見を述べることが少なかったので、現在の神戸での連節バスの有効な用途について考えてみました(課題点の洗い出しをしたつもりですが、批判的に受け取られたかもしれません。すみません)。
    具体的には、六甲アイランドへのバス運行に連節バスを適用するご提案です。

    六甲アイランドは六甲ライナーが運行していますが、三宮に行こうと思うと魚崎で阪神電車に乗り換えるか(30分〜32分、440円)、住吉でJRに乗り換える(35分〜40分、430円)必要があります。
    このため、乗り換えの不便さと高い運賃、長い所要時間が忌避されて、みなと観光バスが六甲アイランドから三宮・新神戸まで路線バスを運行しています(三宮まで26分、380円)。

    みなと観光バス 21系統 六甲アイランド~新神戸
    http://www.kobe-minato.co.jp/21root.html

    この路線ならそれほど交差点を曲がりませんし、何より「早い、安い、乗り換えなし」の3拍子で圧倒的にバスの需要が高いので、連節バスでの大量輸送に向きます。
    しかも、元の運賃が380円ですので仮にポートループの210円で運行すれば、およそ半額になります(神戸新交通から苦情が出るレベルですね)。
    あと、三宮駅周辺だけでなく三宮の南側の三宮中央通りから東遊園地の間にもバス停があると通勤には絶対に便利です。
    三宮のオフィスは三宮中央通りや東遊園地の裏の旧居留地に多くありますので、三宮駅周辺の人混みを避けてオフィス近くに停車するバスで通勤できるなら鉄道に比べて圧倒的に利便性が高くなります。
    こういうちょっとした工夫が大勢を決めます。

    このように連節バスは、直線が多いルートで大きい需要が見込める路線に適用すれば極めて有望な交通機関になります。
    単に目新しさや話題性だけで取り入れると初期費用、運用コスト、低速での運転などのデメリットで苦しむだけなので、連節バスの採用にはルート設定と需要の吟味が必要と考えております。

    別件ですが、「連接バス」ではなく、「連節バス」が正しいようです。
    連節バスだと1台のバスに節があるだけなのですが、連接バスだと「複数の車両を繋げたバス」という意味になり、法制上「それなら牽引免許が必要では」という判断になるようです。
    すみません、私も以前コメント差し上げた際に連接バスと記載したことがありますので、誤解を招いたかもしれません。
    お詫びいたします。
    どうかお気を悪くなさらないようにお願い申し上げます。

  3. おさとう より:

    初めてコメントさせていただきます。いつも楽しく拝見させていただいております。ありがとうございます。
    乗車券について、神戸市バス普通区定期をお持ちの方であれば、定期券で乗車が可能になっています。
    https://www.city.kobe.lg.jp/a80014/019882501409.html
    この旨記載いただけると、今後こちらのページをご覧になる方で定期券所有されている方が乗車される機会があるかもしれません。
    発信力のあるこちらのページですので、思い立ってコメントさせていただきました!乗車される方が増えますように!
    神戸が

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