北鈴蘭台・市営桜の宮住宅建替事業(2期)計画「暮らし賑わい施設・KITASUZU HAUS」も完成・オープン

北鈴蘭台・市営桜の宮住宅建替事業(2期)計画は、12ヘクタールに及ぶ広大な敷地にあった1,659戸の住宅棟を解体し、再び新たに800戸の市営住宅、一般住宅(戸建て約90戸)、公共施設を整備。長谷工コーポレーションを代表企業とし、パナソニックホームズや積水ハウス等が構成する企業グループがPFI方式で建物を建設し、BT(Build-transfer)により所有権を市に移転します。



昨年8月以来、9ヶ月ぶりの取材となってしまいましたが、既に新設された住宅棟8棟は竣工し、入居が開始されていました。



2期エリア南東側のエントランスにあたる部分にはシンボル広場が整備されています。



新桜の宮住宅の案内板が立てられました。1期計画で既に1-3号棟が完成済の為、2期エリアでは4号棟から始まり、11号棟までが揃っています。



敷地内には高低差がある為、段差が低く、踊り場を大きく設けた階段を植栽帯で挟んだ公園のようなスペースとなりました。



両側には手摺も備わります。スロープもあるので、バリアフリー設計となっています。



住宅棟の建設が終わった後に着手されたのが、敷地南側の「暮らし賑わい施設（ファーマーズマーケット・カフェ・ライブラリー・クリニックなど）」の整備です。2階建倉庫のような外観ですが、1階は木材とガラスを多用してナチュラルな雰囲気に仕上げられています。コミュニティ型複合施設「KITASUZU HAUS」と正式名称が決定しました。



木の柱に支えられてピロティが設けられました。日陰内にベンチも備わり、住宅の中のコミュニティ形成に一役買う施設となりそうです。



施設の中核テナントとして出店したのが、Mother Moon Cafe。地産地消を盛り上げる神戸市北区の道の駅「FARM  CIRCUS」と共に、新しい「ファームレストラン」という新業態です。マザームーンカフェ×ファームサーカス北鈴蘭台店として、4月20日にオープンしました。



店舗前にはハーブガーデン。店内で提供されるフードにここで採れたフレッシュハーブが使われるのでしょうか。広々とした店内には94席を備え、ペット同伴用のインナーテラス席も用意されています。



KITASUZU HAUS内には3区画にクリニックの開業も予定しています。



まだクリニック区画はすべてが埋まっていないので、出店する医療テナントを募集しています。



隣接する別棟には調剤薬局が開店する予定です。



広場ではファーマーズマーケットをはじめとした地域のイベントの開催も予定されており、地域住民の交流拠点として機能する事が期待されています。



中央にKITASUZU HAUSのテナント案内。時間貸駐車場を整備し、来店者の利用に備えています。



敷地西角にはコンビニのセブンイレブンが出店しました。



8棟に棟数を減らし、住戸数も半減させた事で建物間のスペースも余裕が生まれ、ゆとりのある空間設計が行われています。



3期に向けての動きか中央奥の集合住宅も解体が開始されています。新設された住宅棟にはいずれもエレベーターが完備されており、バリアフリー化が進められました。



地域コミュニティ形成の為のベンチや憩いの空間がエリア内に数多く整備されています。



敷地内には緑も多く、デザイン性も高いので、昭和の団地から令和の団地への転換に大きな時代の変化を感じさせます。



高度経済成長時代を支えた団地はその多くが老朽化に直面し、岐路を迎えている物件が多い中、再び完全に団地に建て替えられるというケースは非常に稀なのではないかと思います。



住戸数を減らしているとは言え、北鈴蘭台という立地にこれだけの大規模団地を再び建設するにはPFI方式の導入は必須だったと言えます。総事業費は289億円と試算されており、この内、137億円は市債で賄われ、残りは各種補助金が充当されます。



児童館と一体化した複合子育て支援施設も整備されました。



北鈴蘭台の再開発は駅前のアトラス神戸北鈴蘭台の完成及び桜の宮住宅建て替え1期計画からスタートしました。



これだけの広大な面積における再開発が完了を迎えつつありますが、あまり話題に上がらない事に違和感を覚えます。郊外人口を増やしていく方針を強化していくのであれば、リノベーション神戸のプロジェクト各種同様に新桜の宮住宅をもっとアピールするべきです。



建物は完成していますが、住宅棟にはまだ多くの空室が見受けられました。暮らし賑わい施設が完成した事により、地域の注目度は必然的に高められるでしょう。若いファミリー層の流入を図り、活気のある北鈴蘭台への転換が求められます。