広島

地域探訪 激変する広島③ おりづるタワーから眺める広島市街と今後の広島駅前再開発

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少し前回から間が空きましたが、地域探訪 広島特集の最終回は一昨年前に完成した新たなランドマーク「折り鶴タワー」とこの建物からの眺望をご紹介します。この建物は広島マツダが保有するオフィスビルで1978年竣工と築40年です。元々は広島マツダ大手町ビルという名称でしたが、大規模改修により全く異なるビルへと生まれ変わりました。

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元は地上14階建てだったビルを13階建てに変更。しかし高さは以前より増しています。総投資額は約70億円とかなりの高額で建て替えた方が安かったのでは?と思える程です。

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1階はお洒落な土産物店とカフェが入ります。

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改修後も基本的に民間の賃貸オフィスビルですが、最上階の13階と12階は有料の特別展望スペースになっています。

この展望スペースへの入場料については何の予備知識もないまま行ったので券売機で目ん玉飛び出ました。大人1名1,700円!最近の最新高層ビル等の展望スペース料金は高価格設定がトレンドですが、この規模の建物でこの料金には正直たじろきました。地元広島でもこの設定は物議を醸し出しているようです。

しかしいざ専用エレベータ13階に上がってみると、傾斜が付けられ人工芝が貼られた憩いの展望フロア「ひろしまの丘」という自然の風がそよぐ気持ちの良い空間が広がっていました。

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傾斜はウッドデッキによって造作されたフロア。足元には間接照明が入って夜間も楽しめるようです。

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階下の12階は「おりづる広場」。折り鶴をテーマとした最新のデジタルコンテンツで遊ぶ事ができます。また有料の折り紙を購入すると、鶴を折って、建物の壁面に投函する事ができます。折り鶴が溜まれば、壁面の一部が地上から最上フロアまで鶴で一杯になる予定ですが何年掛かるのでしょうね。

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帰路はエレベーターではなくスロープで下りる事が可能です。このスパイラルスロープにはちょっとした仕掛けがあります。各フロア間をスパイラルスライダーで滑り下りる事が出来るのです!これはかなり面白い!3歳の娘は大はしゃぎでした。

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タワーからの眺めのメインはやはり原爆ドームと平和記念公園です。高さはないものの、周囲に建物が無いので素晴らしい開放感が広がります。広島は緑と水の豊かな街です。

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平和記念公園周辺にはあまり高層ビルは存在しません。広島大学跡地に現在、三菱地所レジデンスが高さ178mの広島で2番目のタワーマンションを建設中ですので、これが出来ると存在感が出るかもしれません。

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紙屋町や平和大通り方面に目を向けると、数棟の高層ビルが縦列しています。この建物からは広島駅方面を眺望出来るのはスロープからのみですが、高さがないのであまり良く見えません。

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解体されて更地の広島市民球場跡地です。広島も長年、硬直していた駅前再開発が一気に進んでいますが、行政のコントロールは混迷を極めているようで、この広大な市民球場跡地の活用方法を巡っては有効策が見出せずに問題が生じているようです。

おりづるタワーの入場料は正直、内容的にも高いと思います。この設定でなかなかリピーターを増やすのは難しいかなと思います。ただ一見の価値はあるのかなとも思いました。

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広島と言えば路面電車もこの街の顔の1つです。低床の最新車両と昔ながらの市電車両が入り混じって運行されているのも特徴です。

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多くの大都市が路面電車を廃止して地下鉄の導入を図る中、広島は路面電車を残す選択肢を採りました。昨今、LRTが見直されて注目を集める中において、広島の選択が半世紀の時を超えて、正解になりつつあります。東京や大阪、名古屋のような都心部域の広い大都市では大量輸送の可能な地下鉄が有効ですが、それ以外の都市では地下鉄とLRTのハイブリッドな活用が利便性の向上に繋がります。

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全国では富山がLRTを活用したコンパクトシティ化の成功例を模範として導入機運が高まっていますが、栃木・宇都宮市が軌道新設としては初の導入に踏み切り、建設に着手しています。神戸は検討の言葉を繰り返していますが、実際のところ、どのように何を検討しているのかさっぱり分かりません。

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そんな最中ですが、日経新聞にて広島市、JR西日本、広島電鉄の三者が広島駅南口の再開発について2024年度の完成と供用開始を目指すと報じられました。既存の駅ビルASSEを建て替え、新駅ビルを建設し、その2階中央部に前述の広島電鉄の路面電車が駅近くで高架下して乗り入れると共に駅前広場も改修・再編するというものです。これに伴い、JR西日本は2019年春にも新駅ビルのイメージを発表すると具体的なスケジュールを示したようです。ASSEはまだ営業中ですが、新駅ビルの概要が既存ビルの閉館を待たずに公表されます(これが普通だと思いますが)。

駅ビル建て替えの具体化について三ノ宮駅はもう7年も前から検討が開始され、実現に備えてJRが神戸地下街社の株式を取得したり、温泉の掘削を行なったりしてきました。更にはすでに既存駅ビルも閉館させました。しかしJRからは未だ中期経営計画にて2023年度以降の開発としか触れられておらず、イメージについても数年前に来島社長が2018年度に絵姿を見せられればと語ったきり、未だに具体化されていません。

ポートライナーが新駅ビル内に乗り入れるという構造は広島駅の状況と類似しており、JRと市の調整が必要である事も共通です。しかし開発は後だと思われてきた広島が先行しそうな気配さえ出てきました。もし景観審議会が神戸阪急ビルの際のように建物の高さや東西幅についてあれこれ注文を繰り返して難航しているのであればこれは同審議会の在り方を本当に再考しなければなりません。阪急の場合、2013年4月の最初の審議から協議成立まで計10回、3年半強の歳月を掛けさせられています。これは大問題です。阪急は地下鉄乗り入れのインセンティブが背景にあるからか粘り強く耐えてくれたのかもしれませんが、JRにはそんな義理は無いと判断されてしまえば、どんどん他都市の再開発を優先して進め、三ノ宮は放置されかねません。

http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/scene/83siryou-sankou6.pdf
神戸阪急ビルを協議した第82回の審議会の審議内容には本当に腹が立ちます(P.14-37参照)。

民間にそっぽ向かれ始めているのにも関わず、未だに危機感を持たずに勝手に作り上げた神戸らしさという曖昧なテーマに心酔し、高飛車に上から目線で景観の名を借りて民間の開発内容にケチを付ける。企業からすれば正直何様?と思うのではないかと思います。

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広島駅南口には東広島郵便局があります。日本郵政はかねてから各都市の駅前超一等地に中央郵便局を多く保有しています。これらの不動産を活かしてすでに東京、名古屋、福岡で大型再開発ビルを建設していますが、その次となる開発はこの広島になりそうです。20階程度となるオフィス主体の高層ビルに建て替える構想で、2023年の完成を目処とするようです。JR駅ビル開発と共に駅前が更に賑やかで華やかになる事でしょう。

全3回に渡って特集してきた広島。どちらかと言えば、他政令市に比べると比較的、再開発という側面では後れをとってきた街ですが、広島駅周辺を中心に一気に巻き返しを図っています。その勢いは全国トップレベルに達しており、次から次へと大規模な開発が連鎖的に続いており、広島カープの好調とオバマ元大統領の訪問も手伝ってかインバウンドの勢いも増し、それらが開発を後押しして、この街の活気に火をつけるという好循環が出来ているのです。神戸はプロ野球球団も無くなってしまいましたが、イニエスタが入団したヴィッセル神戸が盛り上げてくれると良いですが、とにかく何とか早く駅ビル建て替えを進めて欲しいです。



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POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    議事録を読むとつくづく腹が立ちます。 景観審議会の方々には一度「神戸らしさ」ってなんなのかと聞いてみたいものですね。

  2. ヒーコ より:

    どれだけおエライ方々なのか、景観審議会のメンバー一覧知りたいです!

  3. しん@こべるん より:

    メンバーは公開されていますよ。

    http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/scene/index.html

  4. やまびこ より:

    広島を取り上げていただいて、広島出身者としてはうれしい限りです
    神戸と違い経済的にも人口的にも劣る広島は全体的にあまり再開発が進んでいない印象を持ちますが、このブログのコメントを見るとむしろ神戸の再開発があまり進んでいないと思う人が見受けられ、非常に興味深いです
    一度広島に訪れてみれば、神戸がいかに進んでいる地域かよくわかると思うので、ぜひ皆さんにも足を踏み入れてほしいと思います

  5. ヒーコ より:

    しん@こべるんさん

    ありがとうございます!
    なんと顔見知りの方もいました!!

  6. しん@こべるん より:

    その方にアプローチして頂く事は可能ですか?当ブログ右下のメールフォームからヒーコさんのメールアドレスを送って頂ければ、今回、皆さんから集めた高さ規制導入の反対意見をまとめたファイルをお送りします。それをその方にお渡し頂き、こんなに反対されている事を認識して欲しいと思います。

  7. しん@こべるん より:

    広島は確かに再開発は遅れていましたが、この5年はそれを帳消しにする勢いで開発が進んでいると思いますよ。勿論、神戸は先進してきた貯金があるのでそれで食いつないできましたが、もう赤字寸前です。

  8. bob より:

    古い記事にコメントして恐縮ですがたまたま目にした記事でどうしてもお伝えしておきたいことが
    あのおりづるタワーの件ですが実際建替える方が安いのです
    ただ、当地は平和公園のバッファーゾーンに入っており新築するには高さ制限を伴うという制約があり改修という形になりました
    苦心の末展望台としての機能を果たせたという経緯があります
    入場料金の高さはそれが反映された結果でしょうね

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