映画の中の神戸

アウトレイジ最終章

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前作「アウトレイジ ビヨンド」の公開から5年。北野武監督のアウトレイジ3部作シリーズ・最終作品となる「アウトレイジ 最終章」が公開されました。神戸フィルムオフィスの支援によって市内各所で大掛かりなロケが行われた前作でしたが、今回も随所シーンで神戸ロケが敢行されたようです。早速、作品を鑑賞しましたが、明らかに神戸で撮影されたと分かるシーンは前作程ありませんでした。

http://www.kobefilm.jp/
神戸フィルムオフィス

神戸フィルムオフィスのホームページによると今回の作品でロケに使われた場所は相楽園会館、空港島道路他とあります。相楽園会館は前作から引き続き、関西・花菱組の事務所として幾度も登場します。組長の大杉蓮、若頭の西田敏行、若頭補佐の塩見三省、傘下花田組組長のピエール瀧等が会館で繰り広げるドラマが興味深いです。ナイトスクープの西田敏行とは似ても似つかない大御所の演技には脱帽です。

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最も神戸らしいシーンは中盤以降の見せ場となるこの場面です。ビートたけし扮する大友と大森南朋の演じる市川が花菱組幹部と対峙します。大きな立体駐車場屋上に大友等を乗せたベンツSクラスが滑るようにフレームイン。

恐らくこのブログをご覧になっている皆さんであればすぐにこれがポーアイ二期である事にお気づきかと思います。後方にまだ当時は建設中のKCMI神戸医療イノベーションセンターが確認できます。その左後方には神戸空港大橋が見えますね。

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この角度からこれらの建造物が見える立体駐車場は福山通運の神戸中央支店しかありません。前作でもポーアイにある神戸国際交流会館の屋上で銃撃シーンが撮影されましたが、本作でもポーアイの建物屋上でロケがあった事を嬉しく思います。

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劇中、個人的にはこのシーンが一番格好良いと思いました。大森南朋が自動小銃を抱え、たけしが花菱会の幹部や組員の元へ近づいていく様子がスローモーションで流れます。背後には消費安全技術センターが見えます。

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角度が変わると、雄大な六甲山をバックに、佐川急便神戸支店や上組の総合物流センターが見えます。

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他にも神戸空港島で撮影されたおぼわしきシーンが幾つか登場します。空港に着陸したスカイマークのB737や同社の格納庫が背後に映り込んだりしていました。

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確証はないのですが、池内博之が演じる木村組組長の吉岡がクラブでたけしに射殺されるシーンは東門街もしくは北野坂周辺のどこかで撮影されたのではないかと推測しています。ネットの情報で下見に来ていたたけしの目撃情報があるとのことです。

他にも原田泰造扮する丸山がフィクサーの張を襲撃するシーンがあります。一瞬、背後に神戸朝日ビルのような建物が確認できたので旧居留地で撮影したのかと思ったのですが、それ以外のカットでは見覚えのない街並みでした。ネット情報では横浜の旧居留地である場車道で目撃情報があるようです。もしかしたら双方で撮影されたものを組み合わせた可能性もあります。またDVD等がリリースされたらよく確認してみたいと思います。

アウトレイジ最終章以外にも現在、公開されている「亜人」も神戸でかなり大規模なロケが行われたようです。神戸フィルムオフィス及び神戸の街は今や、日本の映画業界にはなくてはならない存在として認識されているのではないかと思います。邦画の話題作はほぼ必ずと言っていいほど、神戸ロケが行われているようです。そう言えば、何年か前に大杉蓮をハーバーランドのガス燈通りで見掛けたのを思い出しました。

神戸フィルムオフィスが設立されて早17年。日本初のいわゆるフィルムコミッションとして地道に活動を広げ、映画「GO」で当時は東京都内では許可が下りなかった地下鉄線路内での撮影を市営地下鉄上沢駅でロケが行われた事で神戸フィルムオフィスの名が高まり、実績を上げ始めました。その後、数々の映画、ドラマ、CM等が神戸で撮影されています。フィルムコミッションとしては不動の地位を築いた神戸フィルムオフィス。神戸が風光明媚で山、海、街等の多彩なロケ地が近距離圏内に存在する都市である事、撮影映えする大都市の景観を持ちながら、都市規模や人の密集度が東京程なく、街中での大規模ロケが行いやすい事、キャストやスタッフが長期宿泊できる大規模なホテルもある事、東京からのアクセスも良い事等、撮影に適した環境が整っている点も大きいでしょう。

惜しむらくはこの輝かしい功績をあまり全国にアピールできていない点です。ほとんどの場合、神戸として登場せずに、東京を想定したシーンとして使われています。それはそれで構わないとは思うのですが、映画の都としての神戸をもっと観光雑誌や観光ツアーに取り上げて貰うような措置がとれないでしょうか。ロケ地巡りの旅のモデルコースが定着するようなアイディアがもっとあると良いと思います。シティループや観光案内所でもロケ地情報をもっと積極的にアピールしても良いのではないでしょうか。あとはもっとTVドラマのロケが増えると、影響力は大きいかと思います。どうしてもドラマはスタジオに近い東京近郊に集中しがちですが、神戸空港のメリットを活かして、もっと誘致ができないでしょうか。

今後、三宮やウォーターフロント地区の再開発が進めば、これまで以上に撮影映えする街へと神戸は変わっていくはずです。



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POSTED COMMENT

  1. ななかまど より:

    いつも楽しく拝読しています。
    さて、現在公開中の「彼女がその名を知らない鳥たち」でも、数多くの神戸が映り込んでいます。ぜひ観てみてください!

  2. しん@こべるん より:

    北野坂での撮影目撃情報があるみたいですね。もっと沢山あるんですか?

  3. ジョー より:

    NISSANノートePowerのテレビCMでもチラッと神戸が出てきますよ。
    ポーアイからゴールデンビューです。
    https://www.youtube.com/watch?v=beeCRkV5-BQ

  4. ななかまど より:

    結婚式場のラヴィマーナのあたりからの海と山の景色と、神戸製鉄所が映り込む展望台からの景色(摩耶山か丸山公園か新神戸かなと思いました)が、結構重要なシーンで効果的に使われていました。

  5. しん@こべるん より:

    もっとメディアでの神戸の露出を増やして全国への知名度を再認識させるようにできないものてしょうけね。

  6. ウエストン より:

    メディアでの神戸の露出という点では、神戸市は朝ドラにかなり期待していたと思いますが、なんかパッとせずに終わってしまいましたね。神戸のものづくりとかジャズとか洋館とか、神戸が売り込みたいものは一応網羅してましたが。朝ドラで観光振興みたいな発想が逆に時代遅れなのでしょうか。
    ブラタモリは放送時の評判は良く今でもツアー的なものしてますが、外から人を呼べるほどではなさそうですね。
    ドラマ等が横浜ロケだとけっこう反響が大きいのですが、神戸はこべるんさん仰るように神戸である事を伏せて関東の何処かみたいになってるのは勿体無いですよね。

  7. しん@こべるん より:

    ドラマの横浜のロケはいかにも横浜らしい場所で撮影されますよね。横浜として。ドラマの設定上、横浜の登場は無理がないからです。また東京から近くロケも楽で、尚且つ東京とは違った雰囲気がある。大阪に全国キー局があれば、神戸も横浜のような位置付けで扱われるはずですが。

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