小樽市は札幌市の東側に位置する港町で人口は約11.7万人。これに対して観光客数は年間で800万人を越えます。神戸市の観光客数が年間2400万人。人口比で考えると、小樽は観光都市としは神戸を遥かに凌駕する存在です。
小樽の歴史は古く、明治以降から昭和初期に掛けて小樽港を中心とした道内一の経済都市に発展を遂げました。小樽港は道内各地への開拓民の上陸や物資陸揚げ港して活用され、日銀をはじめとする金融機関、商社、貿易会社、船舶会社が集積。しかし近接する札幌が求心力を付け始めると、急速に衰退しました。
10年ぶりに訪れた小樽の駅前はホテルやマンションが建設されていたり、駅ナカに店舗が入っていたり、エスカレーターが設置されていたりと、ゲートウェイは大きく変貌していました。
市内一の商店街である小樽都通りもアーケードのエントラスが一新されて和と石を組み合わせた小樽らしさを表現。やはりこの街にも外国人観光客で溢れていました。
小樽もかつての繁栄を物語るように近代建築が多く残されています。これらは神戸以上に観光資源として有効活用されている様子です。
小樽と言えば小樽運河が代表的な景観です。
運河沿いの古い石造倉庫を保存して、観光集客施設として再利用しています。またプロムナード沿い設置されたガス灯が雰囲気を醸し出しています。夜間には倉庫群がライトアップされます。
おたる日銀通り沿いは北のウォール街とかつては呼ばれ、旧日銀小樽支店をはじめ多くの重厚な建物が連なります。
新築建物も出来るだけ周囲との統一を図ったデザインが採用されています。
小樽郵便局も向かいの建物とデザインや高さを合わせ、ツインビルのようです。
また小樽観光ではメイン通りとなる小樽堺通り。土産物店、カフェ、硝子細工店、飲食店、工房等が立ち並びます。
石造のレトロな建物が多く集います。
バウムクーヘンの北菓楼の本館もレトロな石蔵を活用しています。
メルヘン交差点にある小樽オルゴール堂本館も1912年築の煉瓦造の建物を再利用しており、3400種のオルゴールを展示。オリジナルオルゴールの製作体験も出来ます。
メルヘン交差点のランドマークが小樽で最も有名なスイーツ店LeTAOの本店です。
レトロでヨーロッパのような建物の塔の最上階は店舗台になっており、周囲を見下ろす事が出来ます。
小樽には100店以上の寿司屋があり、寿司屋通りと呼ばれるスポットもある位で、海鮮もスイーツも楽しめるグルメの街です。更に硝子細工やオルゴール等の名産品、レトロな建物が並ぶ景観、大き過ぎないコンパクトな街で観光都市としては人々を魅了する要素がふんだんです。しかし札幌から近過ぎるせいか日帰り客が大半を占め、ホテルもあまり多くはありません。こう言い方をすると小樽の人には失礼かもしれませんが、神戸が体たらくを続けていくと、50年後には小樽になってしまう可能性が十分にあり、その危機感を神戸市も市民も自覚する必要があると思うのです。人口規模はもう少し大きくても昔の栄光をノスタルジックにアピールする観光都市。ただ小樽程、人気の高い観光要素もない神戸が小樽以上の観光都市にもなり得ないのなら、もっと寂れた地方都市に成り下がりかねないのです。小樽は良い街ですし、観光都市として神戸の学ぶべき事も沢山あるのですが、神戸が将来、目指す都市ではない筈です。クロススクエアに30年も掛ける等、そんな悠長な事を言っていたら小樽が札幌に取って代わられて、衰退したように神戸もどんどん大阪に吸収されてノスタルジックで中途半端な観光都市になるのがオチです。
地域探訪: ノスタルジックなロマンティック港町・小樽を訪ねて
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50年後よいわず、小樽のようになるのは30年で十分ではないでしょうか?ちょっと小樽よりは大規模ですが。
わたしは以前よりビル高さ規制が60mほどで別に制限誘導されているのではないかとコメントしていましたが、今やそんな感じの新規ビルの建ち具合です。
さらに言えば高さ規制などでデザイン性の高いビルが建つかと言うと三宮ゼロゲートに代表される(失礼)低コスト新築ビルが建ってしまう。ようするに企業は神戸への投資を抑えたいんですね。
また久元市長はどうやらタワーマンションには憎悪に似た感情があるらしく、御用学者とともに「持続可能なタワマンに関する研究会」を立ち上げ徹底的に糾弾するつもりらしい。
都心部にタワマンばかりになるのは困りものですが、わたしもこの市長がここまで高層ビルに過剰反応するなら、タワマンも必要と考え方が変わりました。
facebookでは、ある市長の友だちレトロ建築愛好家が必死で都心部の容積制限を導入すべきと叫んでるし、逆にこういうヤカラも私たち同様必死なんだと感じます。
一度、住宅都市局の職員に神戸をわたしの田舎の尾道みたいにするつもりなのかと嫌味を言ってやりましたがね。
規制を導入した方が企業は色々知恵を絞って規制の中で、都市計画に貢献するとの都市計画課の職員の意見でした。
京都のようなインバウンドに溢れる都市なら、規制の中でグレードをあげ、アイデアを使ってデザイン性の高い建物を造るでしょう。和風ならそういうデザインで設計をした方が客受けし客寄せリターンがありますからね。公共事業に本来関係ないはずの民間企業が何のために知恵を絞り投資するのか全然分かってないです。
リターンが確保されていればの話です。
やっぱり儲けがなければ社会は成り立たないです。
そのうえでこの市長と市行政は社会のカラクリを勉強しなおすべきです。
今の神戸市行政関係者には、兵庫運河、湊川付替え、ポートアイランド埋立などかつての大事業をやるセンスと度胸はないでしょうね。規制とヤミ専従、仲間うちでチマチマ第三者機関ごっこでしょうか。
震災前まで関西三都と称されていた神戸でしたが近年の停滞に拠る閉塞感は一般市民の感覚・会話の中にまで広がって来ている段階です。
また現在ブームタウンとして特に勢いのある京都・大阪と対比し、新聞メディアは遅々として進まない都市改造に疑問符をつけ、地元経済界は実行力の無い神戸市に危機感を抱き、先日は建築家・安藤忠雄さんも「神戸は新しいことをやる時期」と意見しています。
三大都市圏の中心都市でもなく札仙広福のようなブロック経済圏の中心都市でもない神戸市が150万を超える人口を持ち昼間人口比率100を超える独立都市圏を有する大都市として成り立っているのは神戸港開港から世界への窓口となり、常に進取の気概で都市や港湾を築造し人と資本を蓄積してきた結果です。
立ち止まった神戸に現状維持ができるほど状況は甘くありません。
現在の神戸はあたかも過去の遺産を食いつぶしながら生きている人のようです。
あじさい公園やビーナスブリッジからの景観規制も根拠に疑問符が付くだけでなく、過去をノスタルジックに肯定するばかりで、未来への可能性や変貌を否定するものでもあることを認識するべきです。
これからの神戸を担う人と資本を惹きつけ再浮上するためには、価値のない規制を廃止し、市自らが障害にならないことが最重要です。