布引町、加納町、磯上通、磯辺通、栄町通、元町通。これらは都心部でありながら、遊休地、老朽化したオフィスビルや雑居ビル、コインパーキング等が猛烈な勢いで賃貸マンションに建て替えられているエリアです。中には分譲マンションもありますが、圧倒的に賃貸が多数を占めます。またその多くは店舗も入らず、住戸のみで、都心部から賑わいを奪っている大きな要因になりつつあります。ここ最近はホテルの建設ラッシュによって、土地活用における競合関係にあるからか、一時期ほどの勢いは無くなったと思っていましたが、乙仲通では再び建設が盛んになってきました。
先日も2020年に神戸市が都心部全体における住宅建設規制を掛ける方針を示した事について提言記事を書きましたが、これらの賃貸マンションに対してはこの規制はほぼ掛かりません。何故なら規制の対象となる物件は敷地面積が1,000平方メートル以上が条件だからです。
一方的にタワーマンションや規模の大きな分譲マンションのみを規制しようとする動きはこうした小さな賃貸マンションの増加を更に増長する事になりかねません。大都市には賃貸マンションは必要です。しかしそれだけが特化して増え続ければ、都心部の住宅地化はタワーマンションを規制するよりも遥かに進む事でしょう。
タワーマンションが立地する都市やエリアはそれだけ投資するリターンがデベロッパー側にあるという事なので、都市の付加価値が高められ、地価も上昇しやすくなります。それを規制してしまうと、地価の値上がりは抑えられ、安い土地は売却や譲渡などの流動化をもたらさず、細分化されたまま集約されずに個別開発が進みます。人も集まり難くくなるので商業開発には不向きとなり、結局は高さもデザインもバラバラな賃貸マンションばかりの街と成り果てます。冒頭に述べたエリアは実際にそうなりつつあります。
乙仲通にはまだコインパーキング等も多数存在しますが、こうした低利用地も結局、賃貸マンションに埋め尽くされるのでしょうか。
こうした賃貸マンションの空室率は実態が掴み難いですが、相当のストックが空室になっていると思われます。こうしたマンションが実需とは関係なく増え続けるのは相続税対策として建設されているからです。このまま無人マンションの増殖を市長と市は助長するつもりでしょうか。
ハーバーランドのウミエの成功をとってみると、イオンモールの施した様々な戦略が奏功している事も大きいですが、神戸駅南側の居人口の増加によるところも大きい筈です。これらはひとえにタワーマンションの集積に起因しています。都心居住と業務・商業のバランス良い開発と発展が都心の活力を生み出すのであって、一方的にどちらかを根絶やしにするべきものではありません。ザ・パークハウス神戸ハーバーランドタワーのある場所にはホテルが立地するべきでしたが、煉瓦倉庫周辺の開発を住居系に開放したのも神戸市です。なのに今後は規制するというのでしょうか。
先頃、関西の住みたい街ランキング2018が発表されました。神戸三宮が3位です。この結果だけだと大阪のベッドタウンにされると市長の受け売りになりますが、ランキングの2位は大阪・梅田です。グランフロントもうめきた2期もオフィスとホテル、商業と住宅をバランスよく組み込んでいますし、梅田も外縁部にタワーマンションの建設が進みます。住宅開発規制は当初の三宮駅前エリアと旧居留地エリアに留め、一方で賃貸マンションに対する規制も強化するのが懸命です。
おまけですが、栄町通沿いにある近代建築ですが、斜向かいに本社ビルのある神明の保有になったようです。
乙仲通における賃貸マンション建設ラッシュ再び このまま野放図に増やしていくべきなのか!?
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直近の10年は、低金利による企業の積極投資が続き全国的に大規模再開発事業が推進されました。
その中で、久元市長と神戸市都市景観審議会は、森(遠景・コスト無視=規制一辺倒)を見て木(近景・コスト考慮=資本投下を促す緩和策)を見ずに上質の街づくりをしようと夢想型の審議に明け暮れ時を浪費してきたように思えてなりません。
神戸市は震災後の影響もあり投機的予算が組みにくかったことを考慮してもお粗末なものでした。
この10年で地価は驚くほど上がってしまい、三宮中心部では単体の分譲マンションやオフィスビルでは事業収支が成り立たなくなっています。普通に考えると、既に景気後退が始まる一歩手前の状況なのです、そんな中で神戸市都心部の再開発事業が本格的に始動を始めたという事を忘れてはいけません。
しかし、新たに万博誘致が決定し、IRも大阪が最有力という新たなチャンスが広がり始めています。それにしても神戸は運が良い、先の関空の水没により三空港一体活用はより進捗するでしょうし、このタイミングで阪神高速湾岸線の西進工事着工。バスターミナルの整備事業者決定・市役所新庁舎建替・阪急駅ビル・JR駅ビルなど大規模事業が重なり合っています。これらの事業を前倒しして万博開催までに完成させるようにして欲しいと思います。
そして、再開発の原動力となるのは規制ではなく、大規模化・良質化に対する大幅な規制緩和しかありません。お隣が作り出してくれたBIGチャンスを確りとつかみ取り育てて欲しいと思います。神戸市長には現実的な対応を求めます。数々の事業を万博までに前倒し完成(特に、湾岸線RIC~PI間)するよう大鉈をふるっていただきたいと思います。
三宮周辺を散策していると高さの揃わないバラバラなデザインの小型のマンションがじわじわと増えてると感じました
そして、集約化できそうなまとまった敷地にポツンと建設が始まったりすると、勿体無いないとつい思ってしまいます
ニョキニョキ賃貸の規制は難しいと思います。
税制の根幹を考えさせられたり、建築会社のデザインや
所有会社の考え方など…
あるいは、そこにお住まいになる方のことだったり。
自治体に独自の課税権があればよいのですが、
そこまで彼らの考えは及んでいないです。
そして一般的な大学でもこの問題に触れることはまずない。
地権者が隣の地権者と積極的な繋がりがあればいいと思いますが、
こべるんさんの写真を見つつ、
想像するに利益を追求する残念な方々だと思います。
この人達に未来はありませんし、神戸の可能性を消しています。
ポテンシャルのある土地を狭小化により殺していると言ってもよいでしょう。
私はここに住まれる方を否定しません。
ですが、それが「神戸」で同時に「クソ」と見なして欲しくない。
ニョキニョキ賃貸物件を建てるのは簡単です。でも壊したり
統合するのは難しい。
政治家にその部分を追及される方がおられないのは、
貧困であるなと思います。
あるいは議員が地権者だったりするかもしれませんが?
長々とすいませんでした。
都市間で「人」と「民間資本」の獲得競争をしているのが現在の状況であり、今後もっと熾烈になってくることが予想されます。
人にも企業にも選ばれることが今の神戸市にとって最重要で、神戸市側から選別するような姿勢・施策をとるべきではないと思います。
そもそも行政が民間土地資産等に乱発的に高さ・用途などの規制を掛けるべきではなく、都心に望ましい用途に容積ボーナスを追加加算するなどの緩和策・優遇策に徹してリーディングプロジェクトを誘導・実現するべきです。
極端なことを言えば、都心の一部エリアを「オールフリーゾーン」とし、高さ規制などすべての現行規制から解放するような大胆な施策をとることなど、都市の可能性に夢が持てるような施策が必要です。
日を追うごとにこべるんさんや読者のみなさんのコメントが増えるのを見て、この政策がどれほどの危険性を帯びたものなのか分かってきました。
シュミレーションすれば、JR三ノ宮駅周辺が企業が呼び込めず高層で風格のあるビル街に成長できなければ周辺都心含めて都心全体が10~15階建ての新築賃貸マンション街になると言う見解ですね?
わたしはそれだけじゃなく、老人ホームマンション街になるとも思います。分譲より賃貸の方が高齢者にとって移住しやすいし、逆に容積制限かけると相続に関しても有利なんじゃないですかね?
現に病院や店舗から遠いのを嫌がって北区からどんどん高齢者が移住してきてますし、老人の居住ニーズはかなりあると思います。
そうすると久元市長は北区や西区に田舎暮らしやリノベ生活とか言って若者世代を誘致しようとしていますし、若者に選ばれる街にするとか言ってながら、真逆になることをしようとしてるんじゃないですかね?
また乙仲通りは現在、家賃が安いから若いクリエイター系が店舗を開いているので、マンションラッシュになったら家賃が上がったり建て替えで出て行ったり、追い出される可能性があるんでは?
よく分かりませんがどうでしょう?
連投すいません。コメントさせて下さい。
やはり相続税制や、戦後のGHQによる税制改革が大きいのではないかと思います。
http://www.tochikatsuyou.com/content/2/3/2020/
以下引用
だから政府は
(1)居住系(賃貸住宅)を建てればこの固定資産税を6分の1にしますよ。
(2)減価償却を認めますよ。
(3)金利も経費で認めますよ。
(4)家賃収入の現金が入るから『お金持ち』になりますよ。と言っておいて、
(5)お金が入るのは設備の償却が終わる15年間だけで、
(6)16年目からは『世界一高いと言われる税金』で半分以上持っていってしまいます。
(7)そうして一生働き続けてやっとお金を残したと思ったら、またまた『最高税率55%の相続税』で持っていかれてしまう、この7つが『日本の特徴』でしょうか…。
だから16年先の税金のことは秘密にして、日本の建設屋さんは『地主さんの土地活用』の営業に来るんですね。(8)何も知らない地主さんはその『甘い言葉』に乗せられて、アパートはやりたくないのに『土地活用・賃貸経営』をやってしまう。(9)入居者のことなんて全然考えていないアパートばかりが日本中にできて『空室だらけ』。(10)そして地主さんはまた財産を無くしていくだけですね。そして日本はどんどん貧乏になっていくんですね。残念なことです。
引用終わり
乙仲通に関しては、幸い埋まる物件でしょうね笑
こべるんさんが札幌を取り上げる理由はものすごくものすごくわかります。私は以前バンクーバーに行ったことがありますが、都市部の道もまっすぐで、土地分割でその間に道を通すなんてありえない!
おまけに、海岸は街を囲むようにあって、自転車や徒歩で回れます。
神戸もやればいいけれど、須磨海岸や垂水舞子のあたりだけで・・・、不十分では。須磨塩屋の歩道は狭すぎです。
私は、制度面では物凄く不利な税制を背負っている日本
が景観上良くなっていくことを再び追求するなら
土地の所有権には厳しい制限をかけていくしかないと考えています。
しかしそれは、ある点において共産的であり、反発を食らいまくることが予想される。ですから間違っても領地召し上げであってはだめでしょう。
それを抑えるためには、最低必要面積を設定することが大事なわけですが、それをいちいち国が細かく設定するのは無理でしょう。
ですからより自治体の役割は重要になります。
私は条例で可能性を追求するべきだと思う。
しかし神戸市は本当に木を見ず森ばかり見ていますよね。
もっと職員や議員は、街に積極的に出るべきでしょう。
それが古い統治システムで原点だったはずです。
ま、公的所有といえば道路なので道路を修復する義務ぐらいしか
ないと思っているのでしょうか・・・。
行政が難しいというなら、民間が頑張れば良いというのもアリです。
もっと街を良くしてほしい。こべるんさんの存在は貴重です。
いつもありがとうございます。
> ハーバーランドのウミエの成功をとってみると、…神戸駅南側の居人口の増加によるところも大きい筈です。
> これらはひとえにタワーマンションの集積に起因しています。
まったくもって仰る通りと思います。
バブル崩壊まで、郊外の一戸建てに住み、職場がある中心街まで電車とバスで通うのが一般的でした。
神戸はこの居住スタイルに適応した街づくりを進め、実際に成功を収めてきました。
しかしながらバブル崩壊後の失われた20年の間に、年功序列型賃金体系の崩壊によって20歳代から40歳代の賃金が上昇せず、共働きが増えるようになりました。
結果、夫婦揃って出勤するのに不便な郊外の住宅地は避けられ、居住地を職場に近い中心街あるいは交通の便のいいターミナル駅に求めるようになりました。
前者の代表が大阪・梅田で、後者の代表が西宮北口駅やJR尼崎駅になります。
京阪神大都市圏の場合、東京大都市圏と違って、大阪だけでなく神戸と京都の昼夜人口比率が高い傾向にあります。
このため、神戸は大阪の衛星都市である一面もあるかと思いますが、その一方で京阪神大都市圏の西の中心を担う重要な存在でもあります。
ここで見落としてはならないのが、「中心街(三宮)に住んで中心街(三宮)の職場に通いたい」というニーズがあるということです。
記事本編内でもしん@こべるんさんがご指摘なさってですが、梅田のグランフロント大阪にはマンション棟も存在し、福島や中津など梅田の周辺のマンションも人気です。
京都市内でも、近年郊外よりも市内中心部のマンションの売れ行きがよく、歴史ある建物を壊すことが問題になっているものの、新しくマンション建設がなされています。
京都や大阪は歴史も古く、職住近接の町内がいくつもまとまって都市を構築していますので、中心地に居住地を求めることに抵抗が薄いのかもしれません。
一方で神戸は上述の成功体験が忘れられないためか、神戸市や神戸市長は、「三宮にタワーマンションを建設許可すると、居住者は三宮から大阪に通い神戸が大阪のベッドタウンになってしまう」と考えているようです。
中心街にマンションを建てさせないことは「中心街(三宮)に住んで中心街(三宮)の職場に通いたい」人たちを切り捨てるだけになるでしょう。
京阪神大都市圏の西の中心地であることから目を背け、大阪のベッドタウンになるリスクを認めるくらいなら自滅するということでしょうか。
仮に、完全なベッドタウンになってしまったとしても、横浜や川崎のようにブランドイメージを保持・向上している街はあります。
仮に、完全なベッドタウンになってしまったとしても、居住してくれる住民がいれば消費は発生し、住民税は得られますし、活気は得られます。
リスクを取らないということ自体が、最も大きなリスクであることに気づいていないようです。
これらの政策から予想される結果は、「三宮に住みたいけど、住むところがない。それならいっそ神戸を離れて子育て環境のいい明石に住もうか」です。
知人から聞いたのですが、明石市では中学生まで医療費を市が負担してくれるそうですね。
一方で神戸では3歳までしか負担してくれないので、その知人は子供が3歳になるタイミングで垂水区から明石市に転出していきました。
垂水や須磨と違って明石には新快速が止まるので、駅からの距離によっては三宮までの通勤時間は明石の方が短くなるようです。
さらに大阪に通勤することを考えると、ポートアイランドや長田区・兵庫区よりも明石の方が乗り換えもなく便利になるようです。
おそらく特急の止まる西宮北口や新快速が止まるJR尼崎が人気なのも似たような理由でしょう。
40歳代以下の働き盛りの世代は神戸から逃げていき、神戸市に残るのは、神戸市内に家を持つ50歳代以上が主になります。
この世代は、神戸市の現在の状態に愛着を持っていますので、神戸が現状から変化していくことは望まないはずです。
保守的な世代ですので、現状維持を掲げる現市長やその後継者を支持し続けるでしょうね。
「衰退し続けることを選択する」というのが神戸の民意なのでしょう。
今はまだいいかもしれませんが、20年後には神戸市内の郊外には老人のみが居住し、交通も車に頼っているので交通事故が頻発するでしょう(自動運転技術によってカバーされるかもしれませんが)。
また、空き家が増加することから、治安の面でも問題になるかもしれません。
さらに神戸の中心街も老朽化したままなので、これまでのオシャレ都市のポジションは大阪の茶屋町やグランフロント大阪、あるいはスカイビルを含めた新梅田シティにとってかわられている可能性は高いです。
いずれにしても、活気のある神戸ではなくなっているでしょう。
先日、京阪神それぞれの年齢別人口を見てみたのですが、大阪は30歳代、40歳代の働き盛りが多く、京都は学生を中心とした20歳前後が多いのに対し、神戸はそのいずれの世代も平均的か少ないのが特徴でした。
国勢調査の結果からも、大都市のうち神戸のみが人口が減少していました。
人口を福岡に抜かれ、近い将来川崎に抜かれることが予想されているにもかかわらず、人口流出を助長するとは…。
もはや神戸はこれで終了したといっても過言ではないでしょう。
都市間競争において、ここから先の勝ちはありません。
負けは決定し、あとはどうやって負けを少なくできるかのフェーズに入りました。
私は、もう何年も貴ブログを拝見しておりましたが、長年にわたりコメントは記入しておりませんでした。
ヴィーナステラスからの眺望の件で、しん@こべるんさんやブログ読者の方々に同じ考えを持つ者がいることを伝えたいと思い、高さ規制反対のコメントを残したのがきっかけでコメントを残すようになりました。
ここ数日の神戸市の動きはコメントへの私のモチベーションを低下させつつありますが、なんとかみなさんと情報交換できればと思っております。
>40歳代以下の働き盛りの世代は神戸から逃げていき、神戸市に残るのは、神戸市内に家を持つ50歳代以上が主になります。
>この世代は、神戸市の現在の状態に愛着を持っていますので、神戸が現状から変化していくことは望まないはずです。
>保守的な世代ですので、現状維持を掲げる現市長やその後継者を支持し続けるでしょうね。
>「衰退し続けることを選択する」というのが神戸の民意なのでしょう。
読んでてワクワクしてるのは私だけでしょうか?
極端に高齢者に偏るということは、数十年後、高齢者がお亡くなりになると同時に全く新しい街に生まれ変わる可能性があります。
土地を相続された子供世代には古い価値観は通じないでしょうし、
相続されなかった土地は行政のものとなり開発の余地が残ります。
神戸が最先端の都市になるかもしれません。