旧オリエンタルホテル跡地に誕生した複合商業施設「神戸旧居留地25番館」が全面開業しました。同施設は地上17階 地下3階 高さ80mの高層複合ビルで地下1階から地上2階の北側に商業施設、3階から17階は宿泊施設や結婚式場及びバンケット、レストランになっています。都心における大型商業施設の開業は、2006年10月にミント神戸の誕生以来、約3年半ぶりです。
番地が施設名という粋な演出です。
東側のファサードは支柱の並ぶコリドーです。幅があるのでこちらも大丸のようなカフェ空間にできないものでしょうか。
北西側の地上1-2階はルイ・ヴィトンが向かいのビルから移転入居。2/27に先行オープンしました。店舗面積約1,200平米の大型店で、世界で9番目、日本では初となる「メゾン」として新装開業しました。ヴィトンは神戸店のこの開業を戦略的に重要な位置づけとしています。
3/5に米国高級百貨店のバーニーズN.Yが東側の地下1-地上2階の3フロアに開業。国内で4番目、首都圏以外及び関西初の出店となります。店舗面積は約2,800平米の旗艦店です。開業日は多くの人で賑わっていました。「首都圏外に出店する際はまず神戸」という程、バーニーズにとっては念願の出店だったようです。最高の立地条件が整ったものと思います。
低層部はガラスと石が交差するようにふんだんに使用され、界隈の雰囲気とマッチングした落ち着いたデザインが施されています。高さも隣接する神戸市立博物館に合わせた形で、高層棟はセットバックさせて圧迫感を軽減しています。低層部の北側屋上に生まれたスペースには、ウォーターテラスと名付けられたチャペルが誕生。
低層部の北側の商業施設とオリエンタルホテルのエントランスの間には東西にコリドール空間が設けられ、屋外カフェが設置されています。大丸を彷彿させますね。
ホテルエントランスにはORIENTAL HOTELの文字が備え付けられました。日本最古の名門ホテルの復活です。
17階はレストランのみでなく、ホテルとしては珍しく最上階にフロントを設けています。チェックインアウトの際は、神戸港を見渡す景色でお出迎え/お見送りという気の利いた配慮でしょうか。
この施設の誕生で、大丸周辺から三井住友銀行前に滞留しがちだった人の流れを更に東へ引き込むことで京町筋周辺に賑わいを生み出し、センター街へと回遊する自然な流れが出てくることを期待します。
また旧居留地の新たな情報発信拠点として、様々な話題性を提供していって欲しいと思います。
旧居留地25番館の華々しい開業によって多少霞がちではありますが、バーニーズN.Yのオープンと同日の3/5に元町ではユニクロ元町店が開業しました。すでにセンター街に大型店、ハーバーランドに日本最大級の旗艦店を持つユニクロでありますが、更に元町交差点に聳えるファッションビル「VEGA」の地下1-地上4階に出店しました。過剰のような気もしますが、GAPもセンター街店と居留地の45th店と近距離に二店舗体制で展開していますし、勝算あっての出店なのでしょう。
アーバンコーポレイションが手掛けた居留地のファッションビルも同社の破綻によって一時はどうなるかと危惧しましたが、アーバンテラス 神戸旧居留地(BLOCK31)として開業し、D&Gをはじめとするブランドショップが軒を連ねていましたが、同ビルに、ビームスが大人をターゲットとした新たなスタイルショップ「ビームスハウス神戸」を3/20にオープンさせます。こちらも東京・丸の内、六本木に次いで三番目、東京以外では初の出店となります。
元町、居留地界隈はまさに新店開業ラッシュです。国内外のブランドが熱い視線を送っている激戦区でもあります。集積が集積を呼び、国内でも稀少な環境が整っています。
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旧居留地25番館に移転したルイ・ヴィトンですが、同時に興和ビルに入居していた他の2ブランド(フェンディ、ベルルッティ)も退去もしくは移転しました。居留地の中心地に一気に約2,300平米の空き商業スペースが誕生したことになります。
現状の同エリアに対する投資熱を考えると、このビルに新たなテナントを呼び込むにはさほど時間は掛からないでしょう。
3/6に大阪・心斎橋にH&Mが関西初出店することで話題になっていますが、銀座にも進出している位なので、このビルに関西2号店が出店したら面白いかもしれません(居留地の風格維持の為、反対される方もいるかもしれませんが・・・)。