近年、話題スポットやグルメで急速な盛り上がりを見せている淡路島。その北部に位置する「淡路夢舞台」に関する大きなニュースが発表されました。
兵庫県が所有する淡路夢舞台の県有資産やホテル事業が民間に売却され、宮崎の「シーガイア」などを手掛けたフォートレス・グループ等の手によって、「Awaji シーガイア リゾート」へと生まれ変わる計画が進められています。
世界的建築家・安藤忠雄氏の最高傑作のひとつであるこの施設が、民間資本と新しいノウハウによってどのように変貌を遂げるのでしょうか。
淡路夢舞台は、関西国際空港などの建設のために土砂が削り取られた「山」を再生させるため、自然の復元を目指して誕生した壮大な複合施設です。建築家・安藤忠雄氏が手掛けた同施設は、自然と打ち放しコンクリートが見事に融合したランドスケープが話題となり、施設内の「グランドニッコー淡路(旧ウェスティンホテル)」や「国際会議場」といったハード面は非常に豪華であるものの、近年の変化する観光ニーズにどう対応していくかが課題となっていました。

今回、再整備計画の優先交渉権を獲得した開発事業者であるフォートレス・インベストメント・グループおよびアイコニア・ホスピタリティは、観光・リゾート再生の分野でトップクラスの実績を持つ企業グループで、日本では宮崎の「フェニックス・シーガイア・リゾート」やスパリゾートハワイアンズなどの再生を成功させてきた実績があり、全国各地で観光施設やホテルの価値向上(バリューアップ)を手掛けています。まさに「資金力と再生ノウハウ(フォートレス)」×「現場の運営力(アイコニア)」という、リゾート再生のスペシャリストによる強力なタッグが実現したわけです。
投資額は初期投資だけでも50億円以上。今回の再構築計画で注目のキーワードが「滞在型リゾートへの転換」と「リトリート型MICE」です。
滞在型リゾートへのアップデート
客室のリニューアルに加え、家族連れやカップルがゆったり過ごせる温泉施設やキッズパークを新設。日帰り観光から「泊まって体験するリゾート」へと進化させます。
リトリート型MICEの拠点化
国際会議場は「Awaji シーガイアコンベンションセンター」へと機能を拡充。会議や研修にリゾートでの癒やしを組み合わせた、ビジネス&観光のハイブリッド需要を狙います。
地域との連携強化
淡路島内の観光周遊の促進や、地元食材を活かした食体験の提供など、島全体への経済効果も期待されています。

今回の事業で注目したいのは、すべての施設を完全に民間へ売り渡してしまうわけではない点です。
- 民間譲渡エリア:ホテル、国際会議場、展望テラスなど(民間事業者が収益性を高めて投資回収)
- 公共維持エリア:百段苑、温室(あわじグリーン館)、野外劇場など(県が公共施設として位置づけを維持)
誰もが親しめる公共のランドスケープとしての美しさや価値を守りつつ、ホテルや会議場といった事業エリアは民間資本で最先端のリゾートに引き上げる。公的空間と民間ビジネスが共存する、理想的な官民連携モデルと言えます。
ホテル棟に関しては、当初、「ウェスティン淡路」として開業し、20年に渡って営業を続けていました。日韓共同開催で行われた “2002 FIFAワールドカップ” では、ディビット・ベッカム選手を含むイングランド代表チームが宿泊した事でも注目を集めました。マリオット・インターナショナルとの契約が満了した事から、2020年9月に、現在の「グランドニッコー淡路」にリブランドされました。今回の譲渡によって、再度、ホテルがリブランドされる可能性もあります。

2027年4月以降に運営のバトンが渡され、順次オープンや改修が進められる見込みです。採掘跡地に緑を取り戻した「安藤建築の奇跡」が、実績豊富なフォートレスグループの手によってどんな魅惑のリゾートへと進化するのか。訪日客からの人気も上昇している淡路。「AWAJI」はもはやリゾートブランドになりつつあります。神戸空港の国際化も背景に大きく飛躍を遂げる未来が待っています。

