以前より是非一度は訪れてみたいと思っていた高松市の丸亀町商店街をようやく訪れる機会を得ました!多くのアーケード商店街が衰退する地方都市にあって、段階的に再開発を進め、中心部のにぎわい復活に成功した商店街として全国に名を馳せています。
A街区としてまず再開発に着手した金毘羅街道の北端エリア。直径25メートルの巨大ガラスドームが覆う広場はまさに圧巻で、復活した高松丸亀町商店街のシンボル的な存在です。
広場は四方向からアーケードが交差するポイント・札の辻に整備されており、ドーム下では週末等を中心にイベントが開催され、賑わいを見せるようです。
広場の周りを円形状に囲む再開発ビル「高松丸亀町壱番街」。アトリウムに面してアールを描く回廊が設けられており、物販店やサービステナントが入っています。
地方都市の商店街でなくとも、建物の上層階フロアへの集客はハードルが高い構造ですが、垂直動線を明確にし、広く明るい回廊には賑わいが生まれるように工夫が施されており、GAP等の人気テナントを誘致しています。
32mの高さを誇るドーム屋根。まるでイタリア・ミラノの「 ヴィットリオ・エマヌエレ2世のガッレリア」を彷彿とさせます。
従ってドーム周りは高級ブランドも多く集積し、この商店街が高松の商業を第一線で牽引している事を象徴しています。
ドームと接続したA街区に掛かるガラスアーケード。22mの高さがあり、日本一の高さを標榜します。
コストが安く軽いポリカーボネート化やアルミパネル化という選択肢も計画時には何度も出たそうですが、ガラスに拘った事でこれまでの日本のアーケード商店街の常識を覆す洗練されたアーケードになりました。
これに組み合わせる再開発ビルもデザインや色調に華やかさを与えています。
真新しい再開発ビルに隣接して荘厳な佇まいを見せる百十四銀行高松支店。近代建築の同行旧本店は洗練されたアーケードの下で異彩を放ちます。
デザイン性に非常に優れたアーケードと再開発ビルは、田舎の商店街とは一線を画し、地方都市の商店街の概念を根本的に変えようという意気込みさえ感じさせます。
三宮でも用いられようとしているデザインコードが丸亀町商店街の再開発では根付いており、コンセプトが明確にされています。複層の建物にもしっかりと回遊性とゆとりを持たせました。
頭上には再開発ビル間を結ぶ空中回廊。
このアーゲートを見たかった1番の理由は今後の三宮センター街を考える上で大きな参考になるだろうと思っていたからです。
アーケードのすぐ側には地域一番店の高松三越が立地。開店より100年近い老舗百貨店です。
23年度の売上高は182億円と、コロナ禍からの脱却中に何故か売上を落としています。
丸亀町商店街に戻ります。アーケードの下にはベンチや街路樹も備わり、潤いとゆとりが存在します。
幅員の狭まるゾーンではアーケードのガラス屋根をトラス構造の柱で支えています。
この柱の並びや造形がもはや芸術的でもあります。
B街区・弐番街。通りを挟んでデザインを対とした2棟の再開発ビルを建設。奥行きのある建物には、奥に向かって階段が伸びる特徴的なデザインを採用。
飲食テナントやフランフラン等が出店しています。
商店街の建物がこれ程の規模や広範囲のエリアに渡って再開発される事例は殆ど無いのではないかと思われます。
個別に建て替えが進められた建物も多く立地しており、再開発が建て替えを促進しているようです。通りのテナントにはナショナルチェーンの出店が多く見受けられます。
C街区・弎番階の再開発ビルは規模も大きく複合化されています。
アーケードに面したファサード。こちらの建物も奥行きが大きく、建物の回遊動線が意識されています。美と健康とケアがコンセプトの為、低層部はファッションテナント、中層より上階にはクリニックやフィットネス、サロン等が入居。神戸阪急に出店したまちのシューレ963も入っています。
隣接する中国銀行高松支店も建て替えられ、C街区の建物と色調を統一しています。
最上層フロアには住宅も配置。商・住を組み合わせて都心に賑わいを生み出す方向性が示されています。
今後はD〜F街区の再開発も順次進められていく計画です。
三宮センター街も開発時期は違えど、同様に複数の再開発ビルを建設して栄えてきたアーケード街ですが、今後、再々開発を進めていくにあたって、建て替えられる建物がバラバラに計画されるのではなく、デザインコードとエリアの役割をまずはしっかりと定め、グランドデザインを設計する必要があります。そして再びアーケードを架けるのであれば、丸亀町商店街を参考に美しいガラス屋根を採用すべきかと思います。都心居住も組み込む必要もあるのではないでしょうか。
丸亀商店街 だと
丸亀市のJR丸亀駅前にある商店街のことを指します。
高松市の丸亀『町』商店街ときちんと表記してください。