高松

地域探訪: 高松・JR高松駅ビル「高松ORNE(オルネ)」テナント誘致に苦戦した駅ビル 九州との違いは?



高松市の新都心・サンポート高松及び同市の陸の玄関ターミナルであるJR高松駅。中央のガラス張りの駅舎には北側に隣接した駅ビルCOM高松がありましたが、JR四国は駅舎南側でも新たな駅ビル開発を進めてきました。



そして2024年3月22日には新駅ビル「高松ORNE(オルネ)」が開業を迎えました。観光客や地元の人々も活用できる新拠点の誕生です。今回の増築部分の完成を機に、南側のCOM高松も合わせて一体的にORNE北館、南館として運用されています。



建物の構造・規模は鉄骨造 地上4階で駅部分を含む延床面積は24,600平方メートル、店舗面積は8,800平方メートルで、南館、北館、駐車場棟から構成されます。



ORNEが面する駅前広場はサンポート高松のシンボル的存在の交流広場で、バスターミナル、高松シンボルタワー、JRホテルクレメント高松等が立地しています。



中核テナントである無印良品やツタヤブックストア等を含めた60店舗が出店。ただテナント集めには苦戦したようで、フロアの一部はまだ仮囲いの設置された区画も存在し、JR駅ビルでさえも開業までに全館のテナント区画を埋める事ができないという流通業界の現況が垣間見えました。



ORNE南館と北館に挟まれる形になった駅舎コンコース。3層吹き抜けの明るく開放的な空間です。



完全なターミナル駅であるが故に駅舎はホームに対して垂直に立地。ホームのある東側の改札上にはデッキが設けられており、スターバックスコーヒーのテラス席及びORNE北館と南館の連絡通路として機能しています。



東西のガラスで覆われた両開口部の採光により非常に明るいコンコースアトリウムが広がっています。



このコンコースは規模は違えど、JR横浜駅の駅ビルであるJR横浜タワーのアトリウムを彷彿とさせます。



ちなみにこちらがJR横浜駅ビルのアトリウムです。



3階にはアトリウムに面した空間に高松初のシェアラウンジが開業しました。TSUTAYAが運営するブック&カフェとラウンジを組み合わせたお洒落な空間となっています。



また1階にはデパ地下のような食品物販が充実したフロアになっており、これに加えて無印良品500や観光案内所、輸入食品のジュピター等が出店しています。



テナント誘致に苦戦したが故に、いわゆる大都市のターミナル駅ビルのようなファッションビルとする事は叶わず、ニトリデコホームやココカラファイン等も入れる事で床を埋めたといった感は拭えません。高松においてもJR駅は、中心市街地である丸亀商店街エリアから離れており、他都市のように駅ビルが黒船になって商業地図を劇的に変化させる程のインパクトを起こす事は出来なかったようです。



JR九州が九州各県の県都で駅ビル開発を行い、いずれも大きな成功を収めているのとは対象的で、この結果は正直、意外でした。

やはり九州の駅ビル成功は訪日客需要の高さと九州新幹線の存在が大きいのかもしれません。

高松・四国にも新幹線を引っ張ってきたいという要望はあります。現在、全国では四国だけが新幹線のない唯一の地方となりました。



4階は屋上テラス広場「ORNE PARK」となっています。



フォトスポット「高松アンパンマン列車ひろば」も整備されており、ファミリーが楽しめる寛ぎ空間です。



人工芝の上には光を透過する大屋根も取り付けられており、人々が憩いの時間をのびのびと過ごしていました。



テラスの東側は駅前広場を一望できるようガラス張りとなっています。



年間500万人の来店者と60億円の売り上げを目指すとするJR高松駅ビル。コロナ禍の中でのリーシング活動により、苦戦したテナント誘致も開業前半年での猛チャージで、なんとか9割の床を埋めるまでに至りました。駅前一等地の駅ビルでさえも難しい状況を抱える可能性があるという事を示した例となったようです。しかしながら新駅ビルの開業はサンポート高松の存在感を高める事に寄与しており、今後はあなぶきアリーナ香川が稼働する事で、エリア一帯が活性化するポテンシャルは秘めていると言えます。

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