北鈴蘭台駅の西側一帯の丘陵地に広がっていた神戸市営桜の宮住宅は、老朽化したマンモス団地でしたが、2期に分けて建て替え事業が進行しています。1期地区は4年前に先行して建て替えが完了し、450戸の市営住宅と戸建分譲地が開発されました。続いて2期地区として、12ヘクタールに及ぶ広大な敷地にあった1,659戸の住宅棟は全て解体され、真新しい市営住宅が姿を現しています。
2期地区の建替事業は長谷工コーポレーションを代表企業とし、パナソニックホームズや積水ハウス等が構成する企業グループが800戸の市営住宅、一般住宅、公共施設に加え、暮らし賑わい施設(ファーマーズマーケット・カフェ・ライブラリー・クリニックなど)」と「生活利便施設」、「時間貸し駐車場」を建設・整備する計画となっています。
プロジェクトとして取り上げるのは2021年4月以来の2年4ヶ月ぶりとなってしまいました。当時は既存建物の解体がようやく完了し、広大な更地が出現していましたが、現在は既に外構工事や住宅棟の内装仕上げが進められていました。
カラフルな住宅棟が複数配置されています。
建物のデザインはシンプルながら、大林組が手掛けた1期地区の住宅棟以上に分譲マンションのような佇まいがあります。
華美さは極力排除しながらも、新しい街の息吹を感じさせる風景が広がります。
内装や住宅設備も現代の市営住宅に相応しい最新の設計とし、エリアに若いファミリー層の人口流入を促進する起爆剤としての力を期待できます。
市内の大規模団地群はいずれも住民の高齢化が顕著です。リノベーションによる再活用と若い世代の入居を促す制度が整備されていますが、殆どの団地は最寄り駅からバスの利用が必須の利便性の悪い立地条件やエレベーターがない事が足枷となるケースが多々見受けられます。
昭和40-50年代に全国で建設された団地群は同様の立地や設計によって、今後、大量の空き家ストックと化しつつあります。
団地には千里中央地区のように立地条件の良い物件は、分譲マンションへの転換という理想的な形への再生が進む成功例もありますが、これは稀なケースです。
桜の宮住宅では、かつて管理戸数が2,299戸もあった市内最大規模の市営住宅でしたが、建て替えによって住戸数を約半分に減らし、余った土地にはコミュニティの醸成とより良い住環境の整備への活用が進みます。
緑地やグランドが整備された2工区は北山公園として供用が既に開始されています。
公園に隣接して保育施設も整備され、子育てファミリーに受けの良い住環境の整備に力点が置かれています。
それにしても立派な保育園です。児童館と一体化した複合子育て支援施設となっています。
こうした子育てファミリーを支援する施設を良質な住宅棟と一体的に整備する事によって、どのような効果をもたらすのか。
リノベーション神戸による拠点整備プロジェクトが進む中、PFI方式の民間資金を活用した市営住宅の建て替え事業は、今後の他の団地の活用に対してのモデルケースになるのでしょうか。
新築の住宅に移り住みたいという需要は高いのではないかと思います。桜の宮住宅は北鈴蘭台駅からも徒歩圏内にあり、三宮への通勤もスムーズです。
住宅のみならず街全体が新たに作り出されたているので全てがピカピカです。
治安・防犯面にも配慮された街になる事も期待されます。
現在は住宅建設がメインとなっていますが、これらの完成の暁には、更に商業施設の建設が予定されています。
ファーマーズマーケット、カフェ、ライブラリー、クリニック等の建設される予定地では既存建物の解体が行われていました。
北鈴蘭台駅前の再開発で誕生したアトラス神戸北鈴蘭台。完成から1年半が経過しましたが、まだ完売には至っていません。
北鈴蘭台・市営桜の宮住宅建替事業(2期)計画 住宅棟や周辺施設の整備完了も近づく
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いつも楽しく拝見しております。
北鈴蘭台は、比較的都心部に近い閑静な住宅街でありながら、地価が安めなので特に戸建てにおすすめな地区だと思いますが、昭和40年代からの開発なのでやはり街としての設計の古さがあり、高齢化も進んでいます。今回の甲栄台の再開発によって新しくなるのはよい事でありますが、大半を市営住宅の建て直しに当てたのは少し残念です。勿論市営住宅も一定のニーズがあると思うので、部分的には立て直しは必要と思いますが、折角これだけ広大な土地の再開発のチャンスがあったなら、もっと地区の魅力を引き上げることに繋がる思い切った開発によって、若年層が住みたくなるような街づくりに繋げるべきだと思います。今回の2期工事完了後も、まだ余剰地を残していますので、次の開発に期待したいと思います。